腹膜透析 外来
腹膜透析外来
日高病院 腹膜透析外来です。こちらでは「腹膜透析」についてご紹介します。
日本で「透析」といえば「血液透析」が一般的です。しかし、実は透析は1種類ではありません。
「腎臓が悪いと言われた」「家族にいずれ透析が必要と言われた人がいる」など、透析が身近になった方に「腹膜透析」について知っていただき、少しでも不安を取り除くお手伝いが出来れば幸いです。
腹膜透析とは
腹膜透析とは
腹膜透析とは、お腹の中の臓器を覆う膜である“腹膜”を、毒素や余分な水分を取り除くフィルターとして使う透析の方法です。
お腹に特殊なチューブ(カテーテル)を埋め込み、透析用の液体をお腹の中へ送りこみます。すると、腹膜(フィルター)を通して毒素や余分な水分がお腹の中の液体に移動してきます。汚れた液を交換すれば、体の中の毒を外に出せる仕組みです。これを繰り返すことで体内の浄化を行います。
腹膜透析の種類
腹膜透析は大まかに2種類に分けられます。
両方とも、液体を交換する時間以外は行動の制限はありません。
①CAPD(continuous ambulatory peritoneal dialysis:持続携行式腹膜透析)
液体の貯留を常に行うタイプの腹膜透析です。常に体内で浄化が行われているため、穏やかに毒素を抜くことができます。1日に2~4回程度、液の交換を行います。交換回数は患者様の状態によって異なるため、外来で相談しながら決定していきます。
②APD(automated peritoneal dialysis:自動腹膜透析)
液体の貯留を夜間に行うタイプの腹膜透析です。日中の液体交換は原則行わず、専用の機械で寝ている間に液体の出し入れを行います。CAPDに比べて透析を行っている時間は短いため、自分の腎臓の力が残っている方に向いています。貯留時間は6~8時間前後で、患者様の生活様式と残された腎臓の力に応じて決定していきます。
当院の腹膜透析外来の特徴
当院では2015年度より腹膜透析の導入・管理を開始しております。近年では年間7、8件程度の導入を行っております。腹膜透析外来は、現在3名の医師が担当(腎臓内科、血液透析を兼任)しております。平均外来通院回数は月1~2回です。
外来指導
当院では腹膜透析導入時の入院期間を短縮し、患者様の負担を軽減できるよう、外来での指導を行っています。腹膜透析外来の医師、看護師から機器の操作方法や腹膜透析を行う上での注意点を学んでいただきます。
カテーテル挿入術
当院ではSMAP(スマップ)方式を積極的に採用しています。
SMAP方式とは、腹膜透析を開始する4週間以上前に、あらかじめお腹にカテーテルを埋め込んでおくやり方です。そうすることによって、管が体に定着した状態で透析を開始することができ、入院期間の短縮に繋がります。
腹膜透析を開始する直前に管を挿入することも可能ですが、体に定着するまで時間がかかるため、細菌感染の確率が高くなる傾向にあります。
カテーテル挿入術は当院腎外科担当医師が行っております。
SMAP方式とは、腹膜透析を開始する4週間以上前に、あらかじめお腹にカテーテルを埋め込んでおくやり方です。そうすることによって、管が体に定着した状態で透析を開始することができ、入院期間の短縮に繋がります。
腹膜透析を開始する直前に管を挿入することも可能ですが、体に定着するまで時間がかかるため、細菌感染の確率が高くなる傾向にあります。
カテーテル挿入術は当院腎外科担当医師が行っております。
訪問看護
円滑に自宅での腹膜透析治療を開始するため、腹膜透析導入目的の入院中と、退院時に1回ずつ、当院の外来担当看護師と訪問看護ステーション担当看護師によりご自宅への訪問を行っております。自宅の療養環境の調整と指導を受けられると患者様より好評です。
患者様のニーズに合わせ、退院後も訪問看護介入の継続を行っております。
訪問看護師と医師は専用のアプリケーションで連絡をとり、患者様にトラブルが生じた場合には迅速に対応します。
患者様のニーズに合わせ、退院後も訪問看護介入の継続を行っております。
訪問看護師と医師は専用のアプリケーションで連絡をとり、患者様にトラブルが生じた場合には迅速に対応します。
合同カンファレンス
毎月1回、一人ひとりの腹膜透析患者様について、医師、病棟・外来看護師、薬剤師、栄養士、訪問看護ステーション担当看護師、バクスター社担当者による合同カンファレンスを行い、常に適切な治療が行われているかどうか検討しております。
患者様ごとの自宅環境、処置を含めた生活の様子、訪問看護の介入の様子、出口部を含めた腹膜透析トラブルの早期発見・対処法について、また導入前患者様についても情報を共有しております。
患者様ごとの自宅環境、処置を含めた生活の様子、訪問看護の介入の様子、出口部を含めた腹膜透析トラブルの早期発見・対処法について、また導入前患者様についても情報を共有しております。
使用機材
当院では、腹膜透析機器としてバクスター社による『つなぐ』『かぐや』を採用しております。
必要に応じて血液透析とのハイブリッド(週5~6日腹膜透析、週1回血液透析との併用)を行っております。
必要に応じて血液透析とのハイブリッド(週5~6日腹膜透析、週1回血液透析との併用)を行っております。
腹膜透析外来 予約方法
ご予約方法
専門外来は完全予約制です。
腎臓内科担当主治医へご相談ください。
腎臓内科担当主治医へご相談ください。
当院かかりつけではない患者様は、病診連携室で電話予約を受け付けております。
※必ずかかりつけ医師からの診療情報提供書をご持参ください。
当院での腹膜透析導入のほか、転居等に伴う他院からの転医も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
外来受診のご予約についてはこちらをご覧ください。
ご予約はこちらへ
病診連携室
TEL:027-362-6201
診療時間
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
午前 | - | - | ● | - | - | - |
午後 | - | - | 第2・4 | - | ● | - |
※担当医師は外来受診のご案内ページの「外来担当医師一覧」をご覧ください
腹膜透析 治療開始までの流れ
① 腎臓内科 外来受診
まずは、CKDG3~4期の段階で腎臓内科外来を受診いただき、病状の評価、腹膜透析の向き・不向きの判断を行います。患者様の状態や既往歴(開腹手術歴、コントロール不良の糖尿病など)から不向きなこともあります。
② 腎代替療法 療法選択外来 受診
③ 代替療法選択
腎代替療法 「腹膜透析」を選択します
④ 腹膜透析外来 受診
CKDG5期へ進行しいよいよ腹膜透析導入準備時期が来ましたら、機械操作のトレーニングを兼ねて腹膜透析外来への紹介とさせていただきます。外来トレーニングを行う事により、機械操作が難しいという先入観をやわらげたり、入院期間の短縮に結び付けることが目的です。
治療の流れ
外来の流れと治療内容
腎機能の目安 | 外来の流れ | 治療内容 |
10~12% | 腹膜透析外来 受診 | 腎臓内科外来からより専門的な腹膜透析外来への通院に切り替えます。 腹膜透析のやり方を看護師と共に学んでいきます。 採血やお薬の管理も併せて行います。 実際に腹膜透析を開始する前には手術が必要ですので、術前検査も行います。 |
10%前後 | 入 院 カテーテル挿入術 | 実際に腹膜透析を開始する4週間以上前に、お腹の中に腹膜透析のためのチューブ(カテーテル)を挿入します。全身麻酔で手術を行います。入院期間は原則3泊4日です。 |
腹膜透析外来 指導 | 手術後の経過確認と、腹膜透析の練習を引き続き行います。 | |
6~8% | 腹膜透析導入 | 腎臓の機能が低下し、透析が必要になったタイミングで腹膜透析を開始します。 お腹に埋め込んだチューブを体の外に取り出して、腹膜透析を開始します。 外来での練習を参考にして腹膜透析を実際に行います。 患者様やご家族が腹膜透析のやり方を覚えられたら退院可能となります。 入院期間は平均して10~14日程度です。 |
退院・外来通院 | 腹膜透析外来へ通院していただきます。 透析が問題なくできているか、合併症が起きていないか、等々を確認します。 1か月に1~2回の通院が一般的です。 |
カテーテル挿入術 入院について
実際に腹膜透析を開始する4週間以上前に、お腹の中に腹膜透析用のチューブ(カテーテル)を挿入します。
全身麻酔での手術となります。入院期間は原則3泊4日となります。
カテーテル挿入術 入院の経過
経過 | 治療計画・検査・手術 |
入院日 | ・全身の状態を評価し、必要に応じてレントゲン撮影や採血をおこないます。 ・毎日の体重測定 ・1日尿量測定…指定された瓶内に毎回蓄尿します。 |
2日目 | ・腹膜透析準備のための透析用カテーテル挿入術(SMAP法)…いつでも腹膜透析を開始できるように、腹部に透析用のカテーテルを埋め込みます。 ・感染症を予防するために抗生剤の点滴を行います。 ・お腹の症状に応じてレントゲン撮影や採血を行う場合があります。 |
3日目 | ・術後の傷口が問題ないかを確認します。 ・お腹の状態に応じてレントゲン撮影や採血を行う場合があります。 |
退 院 | ・診察後問題がなければ退院となります。 |
入院中の生活について | |
内服薬 | ・腎機能に応じて変更・追加になる薬があります。 ・毎日、薬剤師・看護師が内服薬をお配りします。 ・必要に応じて持参薬を継続・変更します。 ・退院時に、退院後の内服薬をお渡しします。 |
食 事 | ・病状に応じた「腎臓病食」になります。(個人によって異なります。) ・入院中は治療食となりますので、持ち込みはご遠慮ください。 ・退院後「腎臓病食」を続けてください。 |
入 浴 | ・入院日に病棟にて入浴していただきます。 ・その他の日は、ご希望がある場合は蒸しタオルをお渡しします。(シャワー浴も可能) ・手術後は、傷口を保護したままでの退院となります。 次回外来まで湯舟には入らず、シャワー浴にとどめてください。 ・傷口の保護剤がはがれてしまった場合は新しいものに貼り替えてください。 |
説明・相談 | ・医師より病状と手術の説明を行います。 ・栄養士より治療食の説明と栄養相談を行います。 ・薬剤師より内服中の薬の説明を行います。 ・退院時に、「退院療養計画書」をお渡しし、医師・看護師より退院後の生活の説明をいたします。 |
医療・福祉相談 | ・担当ソーシャルワーカーより、医療費助成制度や、必要に応じて身体障碍者手帳・障害年金などのご説明をいたします。 ・必要に応じて介護相談や生活相談、転院相談もいたします。 |
看護計画 | ・入院前の生活動作が維持できるように関わります。 ・退院に向けて必要な看護・介護の説明を行います。 ・適宜、お話を伺い他職種と連携して対応いたします。 ・必要時、退院後の看護・介護のための書類を準備します。 |
リハビリテーション計画 | 医師により、リハビリテーションが必要と判断された場合にご相談します。 |
総合的な機能評価 | ・必要に応じて機能評価を行います。 |
腹膜透析 導入実績
腹膜透析 Q&A
Q.1 腹膜透析と血液透析はどういった違いがありますか?
A. 実施回数や時間など、様々な違いがあります。
「血液透析」は2~3日に1回通院をして、体内にたまった毒素をまとめて抜きます。一方「腹膜透析」は毎日自宅で行うことができます。その他にも、毒素や水分の除去量、身体への負担、衛生管理など様々な違いがあります。身体の状況や生活環境などを考慮し、自分に合った治療方法を選択することが大切です。
Q.2 腹膜透析は少数派ですか?
A. はい、現在は少数派です。
日本では全透析患者さんのうち、腹膜透析をしている患者さんは3%程度です。
その主な理由は、対応できる病院やスタッフが少ないためといわれています。世界を見ると、全透析患者さんのうち、25~30%程度の方が腹膜透析を受けていらっしゃいます。腹膜透析の成績は血液透析に劣らないとされており、社会復帰をしやすい透析のあり方として国からも推奨する制度がは発表されてきています。
Q.3 腹膜透析を始められない人はいますか?
A. 「絶対にできない」という方はほとんどいらっしゃいません。
ただし注意が必要な方もいらっしゃるので事前に確認が必要です。
過去に腹部の手術をして、腸が癒着を起こしている方は管を入れられない可能性があります。手術の種類によっても異なりますので、まずは専門外来でご相談ください。
Q.4 CAPDとAPDはどちらも選べますか?
A. 基本的には生活スタイルの合わせてどちらも選択可能です。腹膜の性質によって「CAPD」向き「APD」向きの方がいるので、開始してから調整を行います。
「CAPD」が基本のやり方となりますので、皆さんに身につけていただきます。その後、生活スタイルや体の状態に応じて適した条件を設定します。「APD」を希望される場合には別途機材が費用になりますので、あらかじめご相談ください。