心臓CT検査
つい最近まで冠動脈の描出には侵襲的でリスクを伴う心臓カテーテル検査が不可欠でした。心臓CTを心臓カテーテル検査と直接比較できるものではありませんが、このCTでは血管の狭窄程度を評価できるだけでなく、冠動脈壁に沈着したプラークまで描出することが可能です。また心室の容積測定も可能です。 骨、肺、軟部組織を抜き出すことで、医師が複雑な心臓の構造を理解しやすくなりました。今では心臓外科医が術前のプランニングの際、すこぶる有益な手段です。
【利点】
冠動脈疾患のリスクが低~中等度の方の除外診断に利用できる最も良い方法と言えます。この検査が陰性であれば、ほぼ100%冠動脈疾患を除外できます。負荷心電図の代わりに用いることもできます。スクリーニングとしての利用には議論があるところです。
腫瘍や血栓など心臓内外の異常を評価できます。
冠動脈バイパス術後や冠動脈ステント後の開存を評価できます。しかし金属によるアーチファクトの為、細いステントの狭窄や金属クリップ近くのバイパスの評価には不向きです。
左室壁運動や大動脈の弁を調べることが可能です。 冠動脈の心筋内走行などの異常を検出できます。
【欠点(限界)】
心拍数が速い方、不整脈では評価が難しい。50~60台の心拍数が理想的です。
造影剤の使用やβ遮断剤の使用:医師の監視下で行えば、これらの影響はごくわずかです。
高度石灰化や細い血管では狭窄度の定量化が不可能です。
金属を植え込んだ後ではステントやバイパスグラフトの狭窄やプラークを描出できません。
心臓カテーテルによる冠動脈造影より狭窄度が大きくなることことがあります。